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あの時、気付かなかった娘の想い。今だからこそ、伝えたい母の愛。

巨匠ペドロ・アルモドバルが本当に描きたかった運命に翻弄された“母”と“娘”の感動の物語

1980年代に『神経衰弱ぎりぎりの女たち』『アタメ』といったセンセーショナルな快作や異色作を連打したのち、キャリアを重ねるごとに円熟味を増し、世界的な巨匠の地位を揺るぎないものにしたペドロ・アルモドバル。思いがけない運命や偶然に翻弄される登場人物を主人公にして、人生の豊かさや複雑さ、人間の愛おしさや切なさを描かせたら当代随一のストーリーテラーであるこの名監督の最新作『ジュリエッタ』は、深い哀しみに引き裂かれたひと組の母娘の物語だ。アルモドバルが“女性賛歌3部作”と呼ばれる自身の代表作『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』にも通じるエモーショナルなテーマを追求するとともに、魔術的なまでに深みを湛えた語り口で観る者を“虜”にするヒューマン・ドラマである。

主人公ジュリエッタ役にアルモドバルはふたりの女優を初めて起用。スペインのベテラン女優エマ・スアレスが“現在”のジュリエッタを演じ、NHKで放送されたTVドラマ「情熱のシーラ」で脚光を浴びた新進女優アドリアーナ・ウガルテが“過去”を演じている。監督は「ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、マリサ・パレデス、セシリア・ロスといった私の女神たちと肩を並べる存在になった」とふたりを絶賛。原作はカナダのノーベル賞作家アリス・マンローが2004年に発表した『ジュリエット(Runaway)』。 同一主人公でありながら独立した短篇「チャンス」「すぐに」「沈黙」の3編をアルモドバル自身がひと続きの物語として脚本化した。

居場所も分からない娘に宛てた、届くはずのない一通の手紙。母が綴った“本当に娘に伝えたかったこと”とは―。
娘は突然、何も言わずに姿を消してしまった ――過ぎ去った空白の12年間
ジュリエッタは過去を振り返り あらためて姿を消した娘を想う・・・

スペインのマドリードでひとりで暮らしているジュリエッタは、自分を心から愛してくれている恋人ロレンソにも打ち明けていない苦悩を内に秘めていた。ある日、ジュリエッタは偶然再会した知人から「あなたの娘を見かけたわ」と告げられ、めまいを覚えるほどの衝撃を受ける。12年前、ひとり娘のアンティアは理由も語らずに、突然姿を消してしまったのだ。ジュリエッタはそれ以来、娘には一度も会っていない。忘れかけていた娘への想いがよみがえる。ジュリエッタは、心の奥底に封印していた過去と向き合い、今どこにいるのかもわからない娘に宛てた手紙を書き始めるのだった……。

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  • 監督・脚本:ペドロ・アルモドバル

    1951年、スペインのラ・マンチャ生まれ。若き日に小説、音楽、演劇などさまざまな分野の芸術活動を繰り広げ、独力で映画作りを学んだ。自主制作の低予算映画『Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton』(80)で好評を博したのち、『バチ当たり修道院の最期』(83)、『欲望の法則』(87)、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)、『アタメ』(89)、『ハイヒール』(91)、『キカ』(93)などのキッチュでエネルギッシュな作風が世界的に注目される。『私の秘密の花』(95)、『ライブ・フレッシュ』(97)の頃からストーリーテリングの成熟度を高め、“女性賛歌3部作”の1作目にあたる『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)でアカデミー外国語映画賞、カンヌ国際映画祭監督賞など数多くの賞を獲得した。続く『トーク・トゥ・ハー』(02)もアカデミー脚本賞に輝くなど絶賛され、ヨーロッパを代表する名匠の地位を確立。その後も冒険心あふれる挑戦を続け、『バッド・エデュケーション』(04)、『ボルベール〈帰郷〉』(06)、『抱擁のかけら』(09)、『私が、生きる肌』(11)、『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)を発表している。

  • 音楽:アルベルト・イグレシアス

    スペインで最も称賛される作曲家のひとりである。『私の秘密の花』(95)以降、ペドロ・アルモドバル作品に欠かせない作曲家となり、『アナとオットー』(98)、『ルシアとSEX』(01・未)などのフリオ・メデム監督作品も多数手がける。『ナイロビの蜂』(05)、『君のためなら千回でも』(07)、『裏切りのサーカス』(11)の3作品でアカデミー作曲賞にノミネートされ、『ボルベール〈帰郷〉』(06)、『抱擁のかけら』(09)、『裏切りのサーカス』でヨーロッパ映画賞の音楽賞を獲得。ゴヤ賞の常連受賞者でもある。そのほかの主な作品は『コマンダンテ』(03)、『チェ 28歳の革命』(08)、『チェ 39歳 別れの手紙』(08)、『ギリシャに消えた嘘』(14)、『エクソダス:神と王』(14)など。

  • 編集:ホセ・サルセド

    1970年代半ばから映画編集者としてキャリアを積み重ね、ゴヤ賞に輝いた『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)、『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)など、すべてのペドロ・アルモドバル監督作品の編集を手がけている。そのほかの主な作品には『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』(95)、『ウェルカム!ヘヴン』(01)、『優しく殺して』(03・未)、『アラトリステ』(06)、『4人の女』(08・未)、『ペーパーバード 幸せは翼にのって』(10)、『クライム・シティ』(11・未)などがある。

  • 撮影:ジャン=クロード・ラリュー

    1980年代前半から数多くの劇映画、TVムービーの撮影監督を務めている。とりわけイザベル・コイシェ監督とのコラボレーションで知られ、『死ぬまでにしたい10のこと』(03)、『あなたになら言える秘密のこと』(05)、『エレジー』(08)、『ナイト・トーキョー・デイ』(09)、『Another Me』(13)の撮影を手がけた。そのほかの主な作品には『追想のオリアナ』(84)、『浴室』(89)、『ラストファンタジー』(91)、『バルジョーでいこう!』(92)、『屋根裏部屋のマリアたち』(10)などがある。

  • 美術:アンチョン・ゴメス

    ビガス・ルナ監督作品『ゴールデン・ボールズ』(93)に美術監督として参加したのち、プロダクション・デザイナーとして活躍。これまでゴヤ賞に4度ノミネートされ、『チェ 28歳の革命』(08)で同・美術賞を受賞した。そのほかの主な作品は『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)、『ガウディアフタヌーン』(01)、『トーク・トゥ・ハー』(02)、『チェ 39歳 別れの手紙』(08)、『抱擁のかけら』(09)、『私が、生きる肌』(11)、『マンク ~破戒僧~』(11)、『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)、『MESSI/メッシ -頂点への軌跡-』(14・未)など。

  • 衣装:ソニア・グランデ

    マドリードの王立演劇学校で学び、イタリアやスペインの衣装デザイナーのアシスタントとしてキャリアをスタートさせた。長らく舞台の仕事に携わったのち、映画界に進出。近年はウディ・アレン監督とのコラボレーションで知られ、『それでも恋するバルセロナ』(08)、『ミッドナイト・イン・パリ』(11)、『ローマでアモーレ』(12)、『マジック・イン・ムーンライト』(14)の衣装を手がけた。そのほかの主な作品は『アザーズ』(01)、『トーク・トゥ・ハー』(02)、『海を飛ぶ夢』(04)、『恋するベーカリー』(09)、『抱擁のかけら』(09)、『ザ・ウォーター・ウォー』(10)など。

  • 原作:アリス・マンロー

    1931年、カナダ・オンタリオ州生まれ。書店経営を経て、1968年、初の短篇集「Dance of the Happy Shades」がカナダでもっとも権威ある総督文学賞を受賞。寡作ながら、三度の総督文学賞、W・H・スミス賞、ペン・マラマッド賞、全米批評家協会賞ほか多くの賞を受賞。チェーホフの正統な後継者、「短篇小説の女王」と賞され、2005年にはタイム誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選出。2009年、国際ブッカー賞受賞。2013年、カナダ初のノーベル文学賞受賞。主な作品に「イラクサ」「林檎の木の下で」「小説のように」「善き女の愛」「ディア・ライフ」など。原作を提供した映画に『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(06)などがある。

  • 現在のジュリエッタ|エマ・スアレス

    現在のジュリエッタ|エマ・スアレス

    1964年、スペイン・マドリード生まれ。デビュー作は15歳の時に出演した『Memorias de Leticia Valle 』(80)。これまでゴヤ賞の女優賞に4度ノミネートされており、そのうち『El perro del hortelano』(96)で同賞を受賞した。またフリオ・メデム監督と組んだ『バカス』(91・未)、『La ardilla roja』(93)、『Tierra』(96)でも知られている。そのほか日本に紹介された出演作には、アントニオ・バンデラスと共演した『インセスト/近親相姦』(90・未)と『暴走遊戯』(90・未)、TVムービー「フライト8714」(10)がある。

  • 若き日のジュリエッタ|アドリアーナ・ウガルテ

    若き日のジュリエッタ|アドリアーナ・ウガルテ

    1985年、スペイン・マドリード生まれ。小さい頃から女優に憧れ、16歳の時に演技とダンスを学べる学校に入学。短編映画『Mala espina』(02)でデビューし、アルカラ・デ・エナーレスの短編映画祭で賞を獲得した。『Cabeza de perro』(06)ではゴヤ賞の新人女優賞にノミネート。その後は数多くの映画、TVシリーズに出演し、マリア・ドゥエニャスのベストセラー小説に基づくTVドラマ「情熱のシーラ」(13~14)の主演を務めて人気を博した。2015年10月には来日も果たしている。そのほか日本に紹介された主な出演作は『ザ・レイプ 秘密』(08・未)、『砂の上の恋人たち』(09・未)、『ワイルド・ルーザー』(13)など。

  • ショアン|ダニエル・グラオ

    ショアン|ダニエル・グラオ

    1976年、スペイン・サバデイ生まれ。2000年代初頭から本格的にプロの俳優として活動しており、数多くの映画、TVドラマに出演している。日本に紹介された主な作品は、セドリック・クラピッシュ監督の青春映画『スパニッシュ・アパートメント』(02)、ギリェム・モラレス監督のミステリー劇『ロスト・アイズ』(10)。2009年スタートのTVシリーズ「Acusados」でスペイン俳優組合のニューカマー賞にノミネートされた。

  • アバ|インマ・クエスタ

    アバ|インマ・クエスタ

    1980年、スペイン・バレンシア生まれ。『Café solo o con ellas』(07)で映画デビュー。主演を務めた戦争ドラマ『スリーピング・ボイス ~沈黙の叫び~』(11)などでゴヤ賞に3度ノミネートされた実績を持つ。そのほか日本に紹介された出演作は『赤の銃士 狙われた王位とルイ14世の陰謀』(11・未)、『マルティナの住む街』(11・未)、『UNIT7 ユニット7/麻薬取締第七班』(11・未)、『インベーダー・ミッション』(12)、『ブランカニエベス』(12)など。

  • ロレンソ|ダリオ・グランディネッティ

    ロレンソ|ダリオ・グランディネッティ

    1959年、アルゼンチン・サンタフェ生まれ。1980年代初頭からTVドラマに出演し、『Darse cuenta』(84)で映画デビュー。ペドロ・アルモドバル監督の『トーク・トゥ・ハー』(02)では、主要キャラクターのひとり、マルコ役を好演。2011年のTVシリーズ「Televisión por la inclusión」ではエミー賞の男優賞に輝いた。そのほか日本に紹介された出演作には『今夜、列車は走る』(04)、『愛の通り魔』(13・未)、『人生スイッチ』(14)がある。

  • ベア|ミシェル・ジェネール

    ベア|ミシェル・ジェネール

    1986年、スペイン・バルセロナ生まれ。父は俳優のミゲル・アンヘル・ジェナー。声優としてキャリアをスタートさせ、『ハリー・ポッター』シリーズにおけるエマ・ワトソンのスペイン語吹替を担当した。2000年代初頭から女優として精力的に映画、TVドラマに出演しており、主演を務めた2011年スタートのTVシリーズ「Isabel」では数多くの賞を受賞した。ナチョ・ヴィガロンド監督、イライジャ・ウッド主演の『ブラック・ハッカー』(14)にも出演している。

  • サラ|スシ・サンチェス

    サラ|スシ・サンチェス

    1955年、スペイン・バレンシア生まれ。『Una pareja... distinta』(74)の小さな役で映画デビュー。その後、1980年代後半から現在にかけて数多くの映画とTVドラマに出演している。名匠ヴィセンテ・アランダと組んだ『La mirada del otro』(98)、『女王フアナ』(01)、『カルメン』(03)のほか、ヴェネチア国際映画祭金熊賞受賞作『悲しみのミルク』(08)で重要な役どころを演じた。本作は『私が、生きる肌』(11)以来のペドロ・アルモドバル作品となる。

  • マリアン|ロッシ・デ・パルマ

    マリアン|ロッシ・デ・パルマ

    1964年、スペイン・マヨルカ島生まれ。歌手としてマドリードのカフェに出演していたところをペドロ・アルモドバル監督に見出され、『欲望の法則』(87)、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)、『アタメ』(89)といった同監督の初期作品に出演。その後もアルモドバル作品の常連俳優として活躍する一方、『プレタポルテ』(94)、『踊るのよ、フランチェスカ!』(97)、『セクシュアル・イノセンス』(98)、『ル・ブレ』(02)、『ピープル』(04・未)、『ダブルオー・ゼロ』(04)、『20センチ!』(05・未)などで強烈な個性を発揮している。

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